「子ども時代の喪失」と犯罪の関係
治療共同体AMITY(アミティ)の活動から日常を振り返る
いま性犯罪者が野放しになっていていいのかと議論が盛んです。
罰を与えるだけでは再犯を防げないことに頭を痛めています。
ここに注目すべきプログラムがあって、希望を与えてくれます。
犯罪者の背景にある”子ども時代の喪失”に着目したワークショップで
再犯を防ぐ効果をあげているのがAMYITY(アミティ)という社会復帰を 支援する非営利団体です。
殺人・傷害・薬物依存症等々、塀の中の面々が犯罪に至った経過を自ら検証し 語ることで、
ありのままの人間として生きていく力を回復していくのです。

  ☆かなりの犯罪者が子ども時代に虐待されていたり、ありのままに生きる ことが疎外されていたのね。
  ☆犯罪っていうと加害者と被害者という概念しか持ってなかったけど、人 間の奥深いところにあるものを解きほぐしていていかないといけないのね。
  ☆アミティの方法だと、犯罪を犯した人が自分の過去を意識的に振り返れ るし、自分が悪かったんじゃないんだと気づいて、人として再生していけるっ ていうところがいいわね。
  ☆子ども会が毎年つぶれていくし、自治会に入らない人も増えているし、 地域社会の力が弱くなってて、災害の時など、助け合えないのではないかって 心配。「助けて」って声をあげやすい社会を作っていかなくては。
  ☆更正できた犯罪者と直に話してみるといいという言葉があったけど、そ の通りだと思うわ。家族から相手にされなくて、学校でもいじめられてて、あ る日暴力をふるったら相手がひるんだので、それから暴力をふるうのが自分を 認めさせる方法だと思うようになって、暴力をふるうのが日常的になったって いう人の話を以前に聞いたけど、どういう過程を経て暴力があるかを知って乗 り越えた人の話は共感できますね。
 子どもがそういう不幸な生き方をしなくてもいいように、子どもには人権っ ていうことをちゃんと教えなくてはいけないわね。それと権利はわがままとは 違うってことを大人が理解することも大切。
  ☆親がよかれと思ってしてくれたことでも、自分はイヤだと思った、その 時の気持ちを大切にしたいと思ってます。それが、ありのままに生きる自分を 認めることだと思ってるの。
  ☆一人の人格として認められなかった生い立ちっていう話になると子ども の権利条約と重なりますね。
  ☆子どもに人権なんていらないっていう人いるけど、そういう人は、イヤ だと思うことを大事にされないで生きてきた人だと思うわ。子どもだけ変えよ うっていうのは無理じゃないかしら。大人が変わっていかなくてはね。子ども 時代を奪われた者の文化を無視したら、現状は変わっていかないと思う。
  ☆大人の価値観を押しつけちゃいけないっていうけど、伝統芸能なんかは 3歳からとか仕込んでいって、子どもが悩みつつ決断するのが中学時代とかで しょ。子どもが自分で決断してから仕込んでいては手遅れになるのよね。伝統 芸能じゃなくっても、大人としてこれだけは伝えたい、やって貰いたい、教え たいっていうもの、あるんじゃないの。
  ☆伝統文化は元は世襲なんかじゃなかったんじゃないの。もっと裾野は広 くって、才能ある人が芸を嗣いでいったんだと思う。親に叱られてもやるって いう子がその分野に育っていくっていうのがいいと思う。やめなさいといわれ てもやめないという衝動が大切。

2005年 1月




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