さいたま新都心にて
怪気炎をあげる女三人


 2003年の夏、岩槻パン工場(学校給食パン ・米飯協同組合岩槻工場)を訪問。小麦粉を一時保管するサイロを、炭酸ガス だけで消毒するというので、見学に行ったんですよ。フェノトリン1%混入を なんとか止めさせたいという埼玉学校給食を考える会の願いが実る瞬間なんで す。今まで保健所が立ち入ったことがないという工場に、保健所からも始めて 職員が立ち会うというのですから、もう、ホクホクです。
 残念ながら“瞬間”というわけにはいきませんでした。というのは、サイロ の点検とか密閉する作業とか、いろいろあって、炭酸ガス注入後のサイロを眺 めただけという結果になりました。
 消毒業者さんも、農協のカントリーエレベーターで、米とか麦の経験はある けど、小麦粉っていうのは、始めてなんですって。そうか、始めてか、って感 無量でしたね。
 じつはね、2000年夏に私たちの願いをいれて消毒しなかったんです。そうし たら、こくぞう虫が発生して、パンに入ってしまって、苦情が来て、また元に 戻ってしまっていたんです。9月が怖い、っていうか、もう、ドキドキです。

 さて、帰る道々、かしまし女3人。
れい 建物、丸ごと密閉できれば、サブ・サイロも一緒に消毒できるの にね。
まさ そりゃ、お金かかるわ。
しょう あるところには、あるのよ。With You さいたま、見た?
れい なに、それ。
まさ 男女共同参画推進センターでしょ。
しょう そりゃぁ、立派な建物なのよ。あんなところにお金かけるん だったら、パン工場に補助金でも出してやってほしいわよね。
れい 今から、行ってみる?
まさ 行こ行こ。

 かくて、女3人、さいたま新都市へ。
 なるほど、立派な建物。スペースもたっぷり。あんれ、「喫煙室」。なんじ ゃ、これ! 禁煙化進んでるっちゅうに、女の館に、時代遅れっ。
 おや、これは、またまた、「婦人相談センター」。“婦人”かぁ。
しょう ちょいと、苦情言おうじゃないの。

 受付の女性に聞いたらね、なんにも答えられないの。
「係りを呼んできます」って、何係りかしらないけれど、男性が出てきました。
 まず、「婦人相談センター」って名称が変ではないかって言ったら、キョト ンとしてるの。挙げ句は「ウチとは別ですから」って。国の機関なんですって。 国の機関だろうが何だろうが、この建物に入ってる以上は“婦人”ってことば 使わないように言うべきじゃないんですかってつっこんだら、もう、タジタジ。 もの言えない状態。「喫煙室」についても、何を言われてるかわからないって 顔つき。仕方ないので、考えてくださいねって言っら、「すみません、まだこ ちらにきて長くないものですから」って言うんですよ。いつきたのか聞いたら 3年前だっていうの。
しょう 3年もいりゃ、充分よ。3週間前じゃあるまいし。
 と、プリプリしながら、とにかく折角だから上の階も見ましょうと上がって いったところが、ゆとりありすぎロビーに、ジェンダーを見直すポスターが展 示してあるではありませんか。その中に「使うのが好ましくない言葉」の一覧 を見つけました。あれれ、あるじゃん、あるじゃん、好ましくない言葉“婦人”。
しょう さっきの若いのにこれ見せよう。
れい おっとがってんしょうちのすけ。(と、ここは3チャンネル「にほ んごであそぼ」のコニちゃん気取り)
 というわけで、ポスター剥がして、もう一回さっきの受付へ。
 剥がすといってもね、いまどきの掲示板は良くできてて、一見押しピン風な んですけど、実はマグネットなんですよ。ちょっと、それをはずしただけ、ね。
 不審そうな顔して現れた件の男性に、もう一度、“婦人”という言葉を考 え直すべきじゃないのって、「お宅で貼ったポスターでしょ」ってつきつけ たら、さすがに今度は「不勉強でした」ですって。
しょう まったくもう、来てから3日ってわけじゃあるまいし。
 って、まだプリプリ。
れい あら、さっき、3週間って言わなかった?
しょう ちょっと控えめに言っただけよ。