NCC平和キャラバン2004

六ヶ所村の大地を踏みしめて

2004年4月24日〜27日


 『韓国へ行こうよ』で始ま った平和キャラバンの企画。まず国内からと、丸木美術館、吉見百穴、在日大 韓基督教会訪問、等々を経て、3回目は原発の放射性廃棄物処理工場ができて しまった六ヶ所村訪問ということになったんです。折しも国際平和巡礼団が六 ヶ所を訪問するというので、現地合流しました。

1日目<大地への祈り>
 国際平和巡礼団は南オーストラリアのウラン鉱山、ロックスビーダウンズか ら出発して、ヒロシマ・ナガサキへ、原子力関連施設や軍事施設を巡る旅で、 核のない世界の実現を訴えて歩いているんです。不登校のアメリカの高校生や、 日本の中学生も一緒に旅をしていました。
  国際平和巡礼団と合流したとき、彼らはすでに朝から歩いていたんですよ。 私たちは、そこから更に20キロ以上歩くことになっていたんです。歩いて歩い て、ひたすら歩いて、とうとう最後の数キロは車に乗せてもらいました。彼ら の健脚振りには驚きました。しかも歩く速度は速いんです。
 1時間に数台しか車に出会わないような過疎の村に走る立派な道路をひたすら 歩きながら、日本山妙法寺の釘宮海証師の不思議な節回しの南無妙法蓮華経に 牧師の平良愛香さんが「テゼの歌」を乗せて、絶妙なコラボレーション。歩道 の亀裂からはつくしんぼがニョキニョキ。 
 ウラン濃縮工場の門前では巡礼団とキリスト教代表のメッセージが述べられ、 祈りが捧げられたんですが、直に聞いていたのは2人のガードマンだけ。けれ ども門前を去る前に釘宮師が皆に円陣を組ませ語った総括の言葉にジーンとき ました。「きょう、この大地は確かに我らの祈りを聞いた」。

2日目<牛小舎での交流>
 日中は原燃PR館と周辺見学。近くでは風力発電の風車が林立。これで発電 してりゃぁいいのにねぇ。再処理工場への電力は大間原発を建設して賄うとい うのですから、わけがわかりません。
 夜は菊川慶子さんの「牛小舎」で巡礼団との交流会。この「牛小屋」元牛小 屋なんですけど、タクシーに「牛小屋」っていうと、ちゃんと着くんですよ。 何年か前に埼玉県で反原発運動をしている東井怜さんから菊川さんのチューリ ップの球根を購入したことがあってね、でも、すぐに植え付けなかったために、 うまく育たなかったんですね。ちょっぴりその時の心の痛みを思い出しながら の参加となりました。
 巡礼団の方から「イラティ・ワンティ」という言葉を教わりました。「毒は 埋めておけ」という意味なんですって。その"毒"ってウランのことなんです。 ああ、私たちはすでにそのウランを掘り出してしまっている。そして未来永劫 にその毒に取り憑かれて生きていくのですねぇ。なんとか止めたい! そうい う闘いにある人々がメッセージを述べながら泣いてしまう場面に遭遇して、闘 いの苦しさ、困難さを思って、都会にある消費者としての責任をかみしめまし た。
 最後に巡礼団が歌と踊りを披露してくれたんですが、「ボディ・パーカッシ ョン」が面白くて、最高でしたね。私にはちょっと難しくて、真似できそうに もありませんでしたけど。運動をしていく中での文化創造というのがここにも あるんだって嬉しくなりました。

2日目<1人でも民主主義>
  昨日反対運動の拠点になっている神社で、昼ごはんのために一休みしたと きにお会いした小泉金吾さんの家を訪問して、より一層くわしく運動の様子を 聞きました。村人たちはつぎつぎいなくなって、目下1人で居残っているんで すが、小泉さんはこう言うんです。「民主主義って数でしょ。だから私も神社 を修理するのに、全国に協力を求めたんです。沢山の方が権利を持ってしまい ましたから、会社は手を出しにくくなりましたよ」また「こうして皆さんがき てくださるんですから、私は1人じゃありません」
 神社も墓も道路も綺麗に手入れされていました。

3日目<宗教を超え真理に向かう>
 キリスト者は歌う ♪すべての人の平和を願い すべての人の平和を祈る〜  会衆が唱和。曹洞宗の僧侶が唱える 羯諦 羯諦 波羅羯諦〜(ぎゃあてい  ぎゃあてい はらぎゃあてい〜)会衆が唱和。再び♪すべての人の平和を願い  すべての人の平和を祈る〜 日本山妙法寺の上人が唱える 南無妙法蓮華教 〜 会衆が唱和。三度♪すべての人の平和を願い すべての人の平和を祈る〜
   大三沢教会に集った者たちは、広島の火を囲み、歌い、祈り、経を唱え、命 をいとおしみ、平和を願い、行動が強められるよう励まし合いました。決して 楽ではない巡礼の旅が、成果となって世界を変えることを祈りつつ、別れを惜 しみました。

4日目<過疎が原子力を招く>
 昨日はむつ市で現場検証をし、最終のこの日は三沢市内を検証。過疎と原子 力産業の誘致が、人々を生まれ故郷から追いだし、ますます人の寄りつきにく い場所にしていくんですね。  昨年たまたま気象の関係で電力需要が少なかったわけですけど、今年暑い夏 が訪れても、やっぱり原発必要なかったねと言われるようなライフスタイル・ チェンジが私たち都会とその周辺に住む者たちの責務でしょうね。



photo by Masataka Nagasawa

<雨が降ったかと思えば雪。雪が舞っていたかと思えば陽が射す。寒い一 日。滅多に人と行き会わない道をひたすら平和を念じて歩きました>


<平和キャラバン・僧侶・牧師・巡礼団が青森県三沢市の教会に集 いました。通りがかりの方も仲間に入って平和を念じました>


<国際平和巡礼団が楽しい歌とパフォーマンスで締めくくってくれました>



BACK